ドリーム小説


「別れよう」

ガシャンベチョ

豆腐が載っている皿が落ちて、皿が割れて豆腐が潰れた。

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

兵助が、豆腐を粗末にした。

あの兵助が、豆腐を粗末にした。

そんな事見たことも聞いたこともないので私はそれを凝視する。

「嫌だ!!」

「え?」

兵助が大きな声で何かを言うなんてめったにないので驚く。

と別れるなんて嫌だ!」

「兵助?」

「私はと出会うまでこの世から豆腐がなくなったら死んでしまうと思っていた」

そんなにお前豆腐好きなのかよ。

半ば呆れていると、ガシッと手を取られる。

「でも、今は違う」

ズイと顔を近づける。

長いまつ毛がさらに長く見える。

「今は豆腐がなくなったって死んだりはしない。でも、がいなくなったら私は死んでしまう」

なななななななな何言ってるのこの目の前の男は!!

絶対今の私顔真っ赤だ・・・・・・。

熱い。

「私に悪い所があるなら改善する。だから、私の傍にいてくれ」

真剣な、兵助の瞳。

「えっと、ごめん。別れようっての、嘘」

その瞳に耐えきれなくて、私は本当の事を言う。

「・・・・・・・・・・・・・・嘘?」

「うん。今日、エイプリルフールだから・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

兵助が私の事を見る。

や、やばい。もしかして怒られる?

「よかったー」

「え?」

笑顔になる兵助。

「別れようなんて嘘で。でも、この質問には答えて。私の傍にいてくれますか?」

「ええ、勿論」

兵助は笑った。

私もつられて笑った。