ドリーム小説
「別れよう」
突然、彼氏に言われた言葉。
いや、突然ではない。
最近の余所余所しい態度や、校舎裏に呼ばれた時点でなんとなくわかっていた。
「他に好きな子ができたんだ」
聞いてもいないのに目の前にいる男は話す。
「だからさ「うん、別れよっか」
他に好きな子がいるのに好き合っているなんて馬鹿らしい。
私は『嫌だ!離れたくない!』なんて言うキャラじゃない。
さっさとこの関係を終わらせるのが一番だろう。
「ホントか!?ならわかってくれると思ってたぜ」
満面の笑みになる元彼。
「じゃぁね」
私は彼に手を振って背を向け歩き出す。
あーあ。友達の延長戦で付き合っていたとはいえ、ちょっとショックかもしれない。
ま、高校生なんだし、こんなもんでしょ。
「ねーぇ、終わったぁ?」
後ろから、語尾を少しのばす喋り方をする女の声。
「ああ、終わった。これで堂々とデートできるな」
「隠れて会うとかマジ面倒くさかったしぃー」
「あはは、ごめんごめん」
ああ。そういうことですか。浮気だったんだ。なるほどね。
浮気、してたんだ。
この場からはやく離れたくて早歩きになる。
泣きそうだ。
浮気されていたのはつらい。
ああ、こぼれてくるな涙。
ごしごしと強く目をこする。
教室には行けない。
今は放課後だけど、部活に入っていない人は何人か教室にいるはずだ。
そうだ。屋上に行こう。
あそこなら人はいないだろうし、泣いても声が漏れることなんてないだろう。
私は屋上へと向かった。
途中、誰とも会わなかったのは幸いだと思う。
半泣き状態の顔なんて見られたくもない。
屋上に着くと、気持ちのいい風が吹いていて、まっさらな青空が広がっていた。
今の私とは正反対だ。
「うっ・・・・・・・・・・」
こらえていた涙があふれてくる。
浮気、されてたのはつらい。
「さん?」
名前を、呼ばれた。
誰か、いたの?
溢れていた涙が止まった。
「大丈夫?」
声のする方を見ると、
「久々知君?」
同じクラスの久々知君がいた。