ドリーム小説




目の前にいるクラスメイト。

何でここにいるんだろう。

というか、



「久々知君、部活は?」



確か彼はバスケ部だったはずだ。



「サボった」



そうですか。



「見てたよ」



何を。



「ふられてるの」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うそ。見られてたの?



「ちょうど真下なんだよね、校舎裏」



屋上からは丸見えってことね。



「声は聞こえなかったけど、なんとなく雰囲気で」

「のぞき見?」

「見えただけ」



はぁ。みっともないとこ、見られたな。



「好きだったの?」

「え?」

「元彼」

「んー、どうだろ」



話す必要なんてないのに、自然と口が動く。



「友達の延長で付き合ってたようなもんだし」



好きだったのかなぁ。どうなんだろう。

自分の事なのに、はっきりとはわからない。



「でも」



これだけははっきりと言える。



「浮気されてたのはつらいな」



まさか浮気されてたなんてねぇ。

あっちから告って来たから、浮気なんてないだろうって思ってた。

信じてた私は馬鹿みたいだ。



「泣かないの?」

「え?」

「泣きに来たんでしょ?」



そうだけど・・・・・・。

人前で泣くのはちょっと・・・・・・。



「泣けばいい」



ポン、と私の頭に手をのせる久々知君。



「泣きたい時は、好きなだけ泣けばいい」



久々知君の声が頭の中に浸透していく。



「好きなだけ泣いて、気が済むまで、ずっと」



落ち着く、優しい声。



「・・・・・・ぅ・・・・・・」



止めていた涙が、あふれてくる。

優しく、そっと頭をなでる久々知君。



「大丈夫。泣き終わったらすっきりするから。私の事は気にしないで泣けばいい。ちゃんと、最後まで一緒にいる」

「・・・・・・ひっ・・・・ぅ・・・・・・」



私は久々知君の優しい言葉に甘え、泣き続けた。



ずっと、



ずっと。