ドリーム小説




ど、どうしよう。タイミングが分からない。





次の日の朝。

久々知君の前で泣いた日の次の日の朝。

私は学校を休むことなんかせず、普通に登校した。

ふられたからって休んだりなんかしない。

廊下で元彼に出会い、彼は私を見て気まずそうな顔をしたが私は素通りした。

だってもうどうでもいいし。

そんなことより、だ。

久々知君にお礼と謝罪の言葉を言わなくては!!

教室に入り、自分の席に荷物を置き、久々知君の元へ行こうとする私。

でも、瞬時に悟った。





あ、無理だ。





この、人がいる、という空間じゃ、久々知君に話しかけられない。

久々知君は音楽を聴きながら窓の外を眺めている。

誰にも関わらず、一人で。

ただ外を見ている。

それだけなのに、話しかけられない。

よくよく考えてみると、久々知君はいつも教室に一人でいる。

べつにクラスから嫌われていて、はぶかれているわけではない。

ただ久々知君が関わろうとしてないだけ。

久々知君はどこかクラスから一歩引いている。

必要最小限しか関わりを持とうとしない。

それは何故なのかはわからない。

でもただ一つだけわかる事がある。

それは、私は久々知君に話しかけられないという事。

今まで久々知君と話した事なんかない私が、クラスとあまり関わりを持っていない久々知君に話しかけるというのはおかしすぎる。

話しかけられたら私はクラスから好奇の目で見られるだろう。

何より久々知君に迷惑がかかってしまうかもしれない。

昨日も迷惑をかけたのに、今日もかけるわけにはいかない。

だから、話しかけられない。

・・・・・・・・・・はぁ。

いつ謝ろう。





だけど、そのチャンスは意外とはやくやってきた。








「・・・・・・よろしく、久々知君」

「こちらこそ」



担任の気まぐれで朝のSHLに行われた席替え。

なんと私と久々知君は隣の席になった。



ど、どうしよう。

どのタイミングで謝ればいいんだ。

昨日はありがとね、とか?

いきなり昨日の話するか?

うーん、どうすればいいんだろう・・・・・・。



さん」



悩んでいると、久々知君に呼ばれる。



「もう大丈夫?」



―――――昨日の事だ。



「あ、うん。もう大丈夫。ありがとね」

「うん、どういたしまして」



あ、久々知君、笑った。

初めて見たかも。

久々知君って、あんまりよく分からない人だったけど、良い人みたいだ。