ドリーム小説 これは・・・・・・やばいな。
尽きることのない欠伸を噛み殺す。
もうすぐ予算会議。
間に合うのか。



会計委員会恒例の予算会議前の徹夜。
今回はいつもよりも徹夜日数が長い。
三木ヱ門以外の下級生は全員気絶。
仕方がないので俺だけ残ってあとは全員帰させた。
といっても、三木ヱ門が部屋まで運んで行ったが。



なぜ今回はこんなにも長引いたのか。
理由を聞かれても分からないとしか答えられないだろう。
さてと。
両頬を思いっきり叩き、気合いを入れる。
これも鍛錬の一つだ。
筆を握る手に力をこめた。





耳に入ってくるのは紙に筆を滑らせる音。
ん?紙に筆を・・・・・・?
「しまったっ!!」
ガバッと飛び起きる。
寝てしまった!!
「あ、おはよう文次郎」
慌てている俺とは違って、呑気そうな声。
「・・・・・・・・・・・・
俺の、彼女だった。
はにっこりと笑うと、机に向かう。
手に持っているのは筆。
机の上にあるのは紙と算盤。
はたまに算盤の球を指ではじいている。
「・・・・・・・・・・・・俺の代わりにやっていてくれてたのか」
「うん。文次郎寝てたから」
髪から目を離さずに答える
「散歩してたら1年生2人を両脇に抱えてる三木ヱ門君に会ったの。
 文次郎はまだ残ってるって言うからお茶でも淹れようって思って部屋に来たら文次郎筆持ったまま爆睡」
クスクスと笑いながらが言う。
「起こすのも可哀そうだったから布団持ってきて、あと、持ってきたお茶は自分で飲んだ」
・・・・・・そういえば。
俺の肩には布団がかかっている。
わざわざ持ってきてくれたのか。
だが・・・・・・・・・・・・
「どうして起こさなかったのか、でしょ?」
は俺が思っていたことを見透かして言った。
「ああ。どうしてだ?」
「だって」
は筆を置き、俺へと近づく。
そしてそっと頬に手を添えた。
「いつもより隈がひどいんだもん」
親指で俺の目を下をなぞる。
「それに徹夜ばっかりしてたら実習の時に怪我しちゃうかもしれないから。
 文次郎が怪我するなんて嫌だもん。
 だから起こさなかったの」
「そうか」
やばい。
すっげぇ嬉しい。
俺のこと、そんなに心配してくれてたのかよ。
「―――――なぁ、もう少し、寝てもいいか?」
「勿論」
そう言うとは自分の膝をポンポンと叩く。
「枕。文次郎、枕無いと寝れないでしょ?」
悪戯っぽく笑う
「ああ、そうだな」
俺はの膝に頭を乗せて、布団をかぶる。
「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
優しい声と優しい温もり。
そっと、髪を撫でられる。
少しだけ。
少しの時間でいいから甘えさせてくれ。