ドリーム小説


「大っ嫌い」



「なっ!?」



ガタンッ



「い゛っ・・・・・・」



文次郎の名前を呼び、駆け寄り、私は彼に言った。

彼は私が思った通りの反応をしてくれた。

私が発言した言葉に驚いて固まり、そして持っていた算盤(何故持っている)を足に落としていたそうな顔をした。

そりゃぁ痛いだろう。

何て言ったって会計委員会専用10kg算盤だ。

文次郎が痛そうな顔をするなんてめったに見られないから笑いたくなる。

笑いたい。

でも心優しい私はそんな事するとかあり得ないので心の中で笑ってやる。

あはははははははははははあの文次郎が自分の足に算盤落としたあはははははははははははははしかも何気に涙目じゃん。



・・・・・・」

文次郎がうっすらと目に浮かんだ涙をぬぐい、落ちた算盤を拾いながら私の名前を言う。

「なぁに?」

ニヤニヤと笑いたいのをこらえて答える。

「・・・・・・俺の事、嫌いになったのか?」

「うん、大嫌い」

にやにや。

今日はエイプリルフールですよ潮江さん。

嘘つき放題の日なんですよ。

大嫌いの反対、つまり大好き。

「大嫌いだよ、文次郎」

大好きだよ、文次郎。

本当の言葉は心の中にしまう。

「・・・・・・そうか」

あれ?文次郎って、今日がエイプリルフールって事知ってるのかなぁ。

その前に、エイプリルフールの事、知ってるのかなぁ。

・・・・・・・・・・知らなさそう。

、別れる前に一つ聞いてもいいか?」

ああ!!やっぱりこの人エイプリルフールの事知らないよ!!

どどどどどどどうしよう・・・・・・。

「オレのどこが悪かったのか、それを教えてくれないか?」

うわぁっ!!文次郎すっごい真剣な目だよ!!

「えぇっと・・・・・・」

言いにくい!!嘘でしたーなんて言いにくいよ潮江文次郎!!

「・・・・・・言えない、か?」

「いや、その・・・・・・」

言えないっていうか、言う事ないっていうか、そもそも文次郎の悪い所なんてないっていうか・・・・・・。

あああ私の馬鹿!!文次郎って言ったら真面目人間だから冗談なんてあんまり通じないのになんて事言ってしまったんだ!!

「・・・・・・あのさ、文次郎。今日が何の日か知ってる?」

「四月一日だな。それと何が関係が?」

大ありです。

「・・・・・・・・・・・・四月一日はエイプリルフール、つまり、嘘ついてもいい日だよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

固まる文次郎。

私は続ける。

「私、さっきから文次郎にいっぱい嘘ついてるよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「大嫌いって」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「大嫌いの反対はつまり・・・・・・」

ボッと顔が赤くなる文次郎。

「えっと、大好きだよ、文次郎」

「・・・・・・・・お、おう・・・・・・」










なんかいろいろ大変だったけど、いつも強気な文次郎が弱気になる所が見れたからそれはそれでいっかな。