ドリーム小説 10

『よ〜い』
鉢屋三郎が例のピストルを空へと掲げた。
とりあえず、みんなの名前を教えてもらい(私側の人が仙蔵、文次郎。敵対側が留三郎と小平太、長次)、さっそくバトルスタート。
私は拳をぎゅっと握った。
『どんっ!!』
そしてピストルの音とあたりに広がる火薬のにおい。
地面を蹴りあげて、当初からターゲットにしていた留三郎を狙う。
「こいっ。伊作の弔い合戦だ」
留三郎は謎の武器(ヌンチャクみたいなもの)を取り出して構える。
その前に、弔いって言ったけど伊作死んでないから。
「ちょっと待て!!」
「うわっ!!」
間一髪の所で飛んできたクナイを避ける。
この声・・・・・・。
「文次郎、何で私にクナイ投げるの」
「留三郎は俺の獲物だ」
獲物!?獲物って何ですか!?
、悪いが俺は文次郎と殺り合う」
あれ?今やりあうが殺り合うって聞こえたのは気のせいかな?
「後悔するなよ」
「お前こそ、後で泣きっ面見せんじゃねぇぞ」
あー。2人でバトル開始しちゃったよ。
私蚊帳の外だ。
ライバルなのかな、あの2人。
さて、私はどうしたものか。
「つっかまーえた!!」
「うわぁっ!!」
後ろからにゅっと手が伸びてきて、私の事を締める。
「なっ!?小平太!?」
「長次と仙蔵が2人で始めたから私はちゃんと」
なるほど。チーム戦って言っても、結局は個人戦か。
よし、やってやろうじゃないか!!
「ぉらっ!!」
「え?うわぁっ!!」
ドスンッ、と地面が震え、砂埃が立つ。
背負い投げしたのだ、小平太を。
「いてて・・・・・・ちゃんやるねぇ」
「油断してるからでしょーが」
油断大敵。
明らかに私のこと甘く見ている小平太は投げやすかった。
「よしっ、じゃぁ行くぞ!」
「こいっ!」





「すごっ・・・・・・」
「あのいけいけどんどんの小平太先輩とやり合ってるよ・・・・・・」
「うわっ!!危なっ!!」
「・・・・・・あの体勢からかわすってどんな運動神経?」
「何者なんだろうね、さんって」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もしかして。
小平太からの攻撃を避けながらふと思う。
私、この世界来てから身体能力上がってる?
ちゃん、避けてばっかりじゃ、私は倒せないぞ」
「わかって、るよ!!」
次々と小平太の拳が私めがけてとんでくる。
私はそれを軽々と受け流す。
絶対身体能力上がってる。
もしかして、この世界の人とレベルが合うように神様が上げてくれたのかな?
それなら、上がった能力、思う存分使わせてもらいますか。
よし、反撃開始!
「っと」
「え?」
小平太の拳を手で受け止める。
「攻撃が単調すぎ。次どこ来るかすぐにわかっちゃうよ」
「ははっ。ちゃんすげぇ。じゃ、これ避けられる?」
な、何するつもりだ。
両腕は私がふさいでいる。
ということは、足か。
「っ・・・・・・」
ふさいでいる小平太の両腕を離さないように、何とか足技を避ける。
「・・・・・・っ!」
両足に力を入れて、地面を蹴りあげ、小平太の両腕から手を離し、その代り肩に手をつく。
「なっ!?」
小平太の肩で逆立ちをして、そのまま降りる。
わぉ。
身体能力上がったからこんなことできちゃった。
「くっ・・・・・・」
私の方を振り向こうとする小平太の足をすかさず払う。
「ぐあっ!」
バランスを崩し、小平太が倒れる。
「ふぅっ・・・・・・」
やった。
勝った。
ちゃん強いな」
小平太が私を見上げながら言う。
「でもね」
妖しく、小平太が笑った。
「これは個人戦じゃなくてチーム戦なんだよ」
刹那、私の体に縄が絡みついた。