ドリーム小説
「行っちゃったね」
ポツリ、と雷蔵がつぶやいた。
「うん、行っちゃった」
皆で門から丘の上を見る。
先ほどまで、先輩達がいた所。
今はもう、いない。
「もうすぐ俺達も6年生か」
八左ヱ門が、まっすぐ丘を見つめる。
「どんなこと、するんだろうな」
「そりゃ、今までとは違って格段にレベル上がるでしょ」
少し笑って、三郎が言う。
「ついて行けるかなー」
「兵助は大丈夫でしょ。い組だし」
「あ、お前ら、次は全員い組だからな!私一人って寂しいんだからな!」
「え?もしかして俺達以外友達いないとか?」
「うっわー、可哀そうな奴」
「そんなわけないだろ!!」
「兵助、落ち着いて」
八左ヱ門と三郎にからかわれて暴れる兵助を三郎がなだめる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一緒だと、いいね」
4人に聞こえないように言う。
だけど、流石忍者の卵。
やっぱり聞こえていたようで、私の事を見る4人。
「どうしたの?しんみり言って」
「兵助と一緒が嫌とか?」
「えぇっ!?、私のこと嫌いなのか!?」
「兵助煩い」
「いや、そうじゃないよ」
先輩達がいた丘を見る。
其々の道を歩いて行く先輩達。
先輩達は優秀だから、お城の忍者になった人も多い。
よって、同級生が敵対関係となることもある。
勿論仕事だから、戦わなければならない。
情に、流されない。
それが忍者だから。
「私はね、ただ・・・・・・・・・・・・ううん、何でもない」
ただこのままの関係がずっと続けばいいと思ってるの。
一緒にいて楽しい。
そんな関係がずっと。
でも、皆にはそれぞれの道がある。
ずっと一緒だなんてこと、無理に決まっている。
だから、飲み込んだ。
“ずっとこのままでいられるといいね”
その言葉を。





「大丈夫だよ」
「え?」
雷蔵が言った言葉を聞き返す。
「大丈夫」
今度は三郎が。
「俺達、ずっと友達だ」
ポン、と、八左ヱ門が私の肩に手を置く。
「だからさ」
兵助が私の前で少しかがんで、言った。
「泣くな」
そっと、頬に添えられる兵助の手。
が泣いたら僕達も悲しいんだから」
「そうそ。運命共同体ってやつ?」
「やべっ。私泣きそう」
「もらい泣きかよ」
4人の会話。
自然と頬が緩んでくる。
「ありがと」
4人に向けて、言った。
「「「「どーいたしまして」」」」
彼等は私を見て、そして笑った。