ドリーム小説
「ねぇ、って立花君と仲悪いの?」

仲良しグループでお弁当を食べていると、いきなり友達が聞いてきた。

「え?何で?」
ドクンと跳ね上がる心臓。
私はそれが表に現れないようにあくまでも自然に友達に聞く。
彼と幼馴染だということは周りに知られたくない。
この一ヶ月間で分かった事は彼はモテるという事。
もし彼の事が好きな女子達が私と彼が幼馴染だったという事を知ったら後々面倒なことになりそうだ。
それに私は彼とは幼馴染だったが、今はただのクラスメイトだ。
仲介役を頼まれたって何もできないだろう。
「だってが立花君と話してるの、一回も見たことないもん。喧嘩でもしたの?」
「あ、それ私も気になってた」
「んー、確かに喋った事無いけど、クラスで喋った事無い人、まだ他にもいるよ」
私はどちらかというと社交的な人間ではない。
だから喋大喋った事のないクラスメイトというのは一学期前半は何人かいるのだ。
「そうだけどさぁ・・・・・・と立花君との間に流れる空気って、なんか他とは違うんだよね」
「わかるわかる。S極とN極みたいな」
「なにそれ」
・・・・・・・・・・・・・・・・女子のカンほど厄介なものはない。
これ以上彼の話が続いたらぼろが出てしまうかもしれない。
だけど自分から話を変えるのは怪しすぎる。
皆が彼の話に飽きるまで適当に相槌でも打っとくか。
「そういえば、立花君って隣のクラスの○○さんと付き合ってるって本当なのかな」
「あー、あの、自分可愛いですオーラー出してるあの人?」
「そうそう。でもそれってガセネタじゃないの?」
「そうなの?」
「うん、○○さんがただ立花君にしつこく迫ってるだけなんだって」
「そーなんだ」
「というか立花君彼女作らないっぽいよ」
「え?何で?」
「立花君と中学が一緒の人が言ってたらしいんだけど、立花君、どんなに可愛い子が告白しても絶対に付き合わないんだって」
「お前なんか俺とは不釣り合いなんだよ!みたいな?」
「んー、どうなんだろう。なんか色々噂があったらしいよ。死んだ恋人の事が忘れられないとか、すっごい年上と付き合ってるとか」
「へー。詳しいね」
「部活でいろんな情報が入ってくるの」
「仙蔵く〜ん」
「あ、噂をすれば○○さん」
「うわ、立花君、すっごく嫌そうな顔してる」
「○○さん、気付かないのかなぁ」
「気付いてたらとっくの昔に近寄らないって」
「それもそうだねー」
「あ、昨日テレビ見てたらさー」
・・・・・・・・・・・・・・やっと話が変わった。
そうか。彼は彼女がいないのか。
まぁ、昔は気にしただろうけど、今はそんなの関係ない。
彼が誰と付き合おうなんて私には関係ない。





私と彼は、関係なんてないんだから。