ドリーム小説
何事もなく時間は過ぎていった。
私と彼が幼馴染だという事は誰にも知られることなくただただ時間だけが過ぎていく。
まぁ、小学校が一緒だった人は知っているが、公言はしていない。
同じような毎日が過ぎていく。
きっとこれは高校を卒業するまで続くだろうと思っていた。
でも、そうじゃなかった。





いつもと同じように過ぎていくと思った今日。
でも、その日は違った。
正確に言うと、その日から変わった。
変わってしまった。





さん、ちょっといい?」
その日、私は教室にいると、廊下から女子生徒に呼ばれた。
隣のクラスの○○さんだ。
例の彼に迫っているけど全く相手にされていない○○さんだ。
何で私の事知ってるのかなぁ。
そう思いながら私は彼女の元に行き、「何か用?」と答える。
さんって、仙蔵君と幼馴染なのよね?」
何でそれを知っている。
ああ、小学校が一緒だった人が○○さんに言ったのか。
「そうだけど、もう三年も話してないから幼馴染って言ってもいいのかよく分からないよ」
「でも、幼馴染だったのよね」
だった。
過去形。
つまり今の私は彼とは幼馴染ではない。
他人に言われると嫌な気分になる。
「そんなさんに頼みたい事があるんだぁ」
長い髪の毛を耳にかけながら彼女は言う。
面倒な事になりそう。
私はため息をつきたいのを我慢する。
「仙蔵君ね、私がいくら誘っても一緒に遊んでくれないの」
ああ嫌な予感がする。
「だからさぁ、さんから仙蔵君に頼んでくれないかなぁ」
ほぉら、やっぱり。
「今度の土曜日の十時に駅前に来てって頼んでね」
「いや、だから私は三年間話してないって・・・・・・」
「でも幼馴染だったんでしょ?」
「今は違うよ」
「・・・・・・まぁなんでもいいわ」
彼女は私の返答にムッとして言う。
「とにかく、ちゃんと仙蔵君に伝えてね」
私に背を向けて彼女は歩きだす。
「あ」
ピタリと彼女は立ち止まり、私の所に戻ってくる。
「私が言ったって事、仙蔵君には言っちゃダメだからね。さんが仙蔵君を誘ったってことにするのよ」
そして彼女は自分の教室へ帰って行った。





ああ、面倒くさいことになった。
彼女が見えなくなってから私はため息をつく。
なりたくなかった仲介役になってしまった。
というかいくら誘ってもダメだってことは自分が嫌われてるんだってわかってよ。
なのにしつこくって・・・・・・。
で、自分が誘ってもダメだから、次は私に押し付ける。
しかも自分が言ったという事は彼に秘密にして。
卑怯、としか言いようがない。
それともただのバカか。
恋は盲目って言うけど本当だったんだね。
あの頃の私はバカだった。
何で好きになったんだろう。
わからない。