ドリーム小説
面倒くさいが彼に今度の土曜日の十時に駅前に来てくれと伝えなくてはならない。
○○さんが言ったことを無視しようかとも考えたが、そのあとも面倒くさそうな事になりそうだ。
女子の恨みほど面倒くさい事はない。
だから私は彼が一人でいる所時を狙ってしぶしぶ話しかけた。





「立花君、ちょっといい?」
私が話しかけると、彼は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにポーカーフェイスに戻る。
「何だ、
彼は昔のように私の事を名前で呼んだ。
どうして名前で呼ぶの?
私とあなたはもう幼馴染じゃないんだよ?
なのに、何で。
聞きたいけど、聞かない。
聞いたって意味がないから。
もう彼とは話したりすることはないんだから。
「今度の土曜日の十時に駅前に来てくれるかな」
「土曜日に?」
「うん、あいてる?」
「ああ、確かあいていた」
「そう、ならよかった。じゃぁね」
「ああ」





彼から離れる。
よかった。
○○さんに頼まれた事はちゃんと伝えた。
勿論、○○さんが言ったという事は伏せている。
これで陰湿な女子のいじめが始まる事はない。
でも、心が痛い。
彼に嘘をついたことへの罪悪感だろうか。
いや、嘘はついていない。
私は土曜日に駅前に来てくれと言っただけで、私がそこに行くなんて一言も言っていない。
まぁ、普通なら私が行くということになるが、私は唯頼まれた事を伝えただけ。
屁理屈ではあるが、実際にそうだし、嘘をついたという意識はあまりない。
じゃぁどうしてこんなにも心が痛いの?
聞くまでもない。
答えは分かっている。
でも私はその答えを認めたくないの。
私がまだ彼の事が好きだという事を。
気付いてしまった。
気付かされてしまった。
私が彼の事を好きだなんて。
なんでまだ彼の事が好きなの?
手紙に一度も返事を出さない男だよ?
私の事を見て思い切り目をそらした男だよ?
なのに、なんで。
どうして私は彼の事がまだ好きなの?
どうして。
どうして。





大好きだよ。