ドリーム小説
っ」





月曜日朝、教室に入り、自分の机の上にカバンを置いて友達の所に行こうとすると、彼に大声で名前を呼ばれた。
その行動により今まで騒がしかった教室がしんと静まりかえる。
当たり前だ。
彼は今まで自分から女子生徒に話しかけることもましてや名前で呼ぶという事はなかったんだから。
なのに今彼は私の名前を呼んだ。
しかも、教室中に、いや、隣のクラスにまで聞こえるような大声で。





、説明しろ」




彼はそんな周りの様子なども気にせず、私にどんどん近付いてくる。
ああお願いだから近付いてこないで。
私はもうあなたと関わらないって決めたの。
あなたの事はもう忘れたいの。
だけどそんな私の思うは彼には届かず、彼は私の目の前に立った。





「どうして土曜日来なかった」





やっぱりそのことなんだね。
「私は行くなんて一言も言ってない。ただ来てって言っただけ」
「どうして来なかった」
同じ質問を繰り返す彼。
「私が行くとは言っていない」
彼と同じように答えを繰り返す私。
「普通誘った本人が来ると思うだろう」
「そういう先入観、やめてくれる?」
「・・・・・・屁理屈だ」
「何とでも言えば」
「誘った本人が来るのが常識じゃないのか?」
「あなたが常識なんて言える立場なの?三年間一回も手紙の返事を書かなかったあなたに」
「っ・・・・・・・・・・」
彼は言葉に詰まる。
彼は動きを止める。
私は止まらない。
止められない。
今まで殺していた感情が次々にわき出てくる。
「私がどんな気持ちでいたかわかってるの?いつ返事が来るんだろうって楽しみにしてたんだよ」
止まらない私の口。
周りの人に見られている。
彼らからは好奇の目で見られている。
あのふたり、今まで話した事無かったのに知り合いだったんだ。どういう関係?
目が訴えている。
でも私はそれに気づいていないふりをする。
「なのにあなたは一度も返事をくれなかった」
「・・・・・・それは」
「理由なんて聞きたくない。聞く必要なんてない」
「なぜだ」
なぜ?
そんなこと、決まってるじゃない。
「だってあなたと私はもう何の関係もないんだよ」
「なっ・・・・・・」
彼は目を見開く。
「・・・・・・・・・・どういうことだ」
「そのまんまの意味よ」
・・・・・・」
彼が私に手を伸ばす。
私はそれを叩く。
「いまさら何よ。私がどんな思いでいたかわかってるの!?」
何度も手紙を書いても返事は来ない。
それがどれだけ辛い事だったか。
「もう、私に関わらないで」
もういやなの。
悲しい思いはしたくないの。
私は鞄を掴んで教室から飛び出し、廊下を駆ける。
彼が私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
私は聞こえないふりをする。
彼が追いかけてくる気配は無し。
私は立ち止まる。
ああ、これで終わったんだ。
彼との関係が。
本当に、終わった。





さよなら。