ドリーム小説




「え?」





予想もしていなかった彼の言葉に私は驚きを隠せない。
彼は今何て言った?
好き?
私の事が?



「何、言ってるの?」



私の口から出た言葉は、自分でも驚くくらい冷たかった。
声色が、冷たかった。



「いきなり人の家に来て何言ってるの」
「・・・・・・信じては、くれないか」
彼は目を伏せる。
「信じるも何も、どうしてあんたなんかが言う事を信じないといけないの」
・・・・・・」
信じられるわけがない。
どうして信じないといけないの。
私はずっと待っていた。
彼からの手紙をずっと待っていた。
何度も何度も私は手紙を書いた。
彼の事が好きだったから。
だけど、彼から一度も返事は来なかった。
連絡は、一度も来なかった。



それをいまさら、何を信じろって言うんだ。



「・・・・・・そうだよな。信じてもらえるわけないよな」
彼は私に頭を下げた。
「え?」
プライドの高い彼がそんな事をする所なんて私は一度も見たことがなかったため、たじろぐ。
「すまなかった」
「・・・・・・・・・・」
「もう、お前には関わらないようにする」
「・・・・・・そうしてくれると助かる」
女子から嫌がらせを受けるなんて、いやだから。
「では、私は帰る」
彼は立ち上がり、ドアへと向かう。
ドアノブに手を伸ばすが、動きを止めて、私を見た。
「最後にひとつ、言わせてくれ」
「・・・・・・・・・・何」
早く、帰ってほしいのに、でも、帰ってほしくない。





「私は、の事が好きだ」
「・・・・・・・・・・」
「これからお前と関わる事はないだろう。だが、私はずっとお前の事が好きだ。昔から、ずっと」
昔から?
「・・・・・・・・仙蔵」
「この気持ちは変わる事はないだろう。これからもな」



彼はドアを開ける。



「待って」



私は彼を止める。
どうして私はこんな行動をとったんだろうか。
早く彼にこの部屋から出ていってもらいたい。
でも、心のどこかで彼に帰ってもらいたくないと私は言っている。
きっと、私はまだ彼の事が好き。
だから私は彼の事を呼び止めたのだろう。



「どうして手紙の返事をくれなかったの?」



だけど、彼と関わる事はもう無い。
それでも知っておきたい。
彼がなぜ返事を書かなかったのかを。





それで、本当に終わらせよう。
彼との関係を。